カメラワーク

カメラワークについて

 ドローンによるカメラワークは空間を自由自在に動くことができます。ほとんどのドローンには、カメラのズーム機能はありません。カメラの画角は一定ですが、自在に動くことでドリーやクレーンのような効果を得られ、また、それ以上のカメラワークも可能です。まるで、ミニチュアの世界を飛び回るように、かなり広範囲に動くことによって、今まで考えもつかなかったカメラワークが簡単に実現できます。
 自在に動き回ることが出来るドローンですが、ただ漠然とフライトしているだけでは良い空撮は行なえません。撮影する目的や対象物(被写体)、そして伝えたいメッセージを踏まえた上で、どんなカメラワークが必要であるかを見極めなければならません。
 ここでは、最も基本的なカメラワークを紹介します。kzfilm.studioでは、このようなドローンによるカメラワークを駆使し、限られたフライト時間の中で効率的な映像撮影を行なっています。また、現地到着から5分以内に離陸することを目標とし、安全かつフットワークの良い効率的なオリジナルスキームでフライトしています。
 全てのフライトログは国交省への報告資料として提出するために、記録・管理しています。


メッセージ性を強調する

 映像は画面中心にある被写体に対し、吸い込まれるように近づいていき(ドリーイン)、何か重要なメッセージを感じる映像となります。映像に対し気持ちが引き込まれる感覚を覚えます。
 ドローンは前進と下降を同時に行なっており、前方に下っていく軌跡となります。前進と下降のバランスが重要で、なるべく中心に被写体を捉え、ブレないよう微調整を行なってフライトします。
 ストーリーによって、ドリーインのスピードを変えると、より効果的でしょう。

存在の提示と状況説明をする

 およそ被写体のみをアップで捉えておき、ゆっくりと遠ざかることで周辺状況が見えてくる映像となります。映像を見る者に、主たる存在の提示とその置かれている状況を説明することができます。また、遠ざかることで現実感が薄れていく心境となり、エンディングや場面展開を示唆します。
 ドローンは後進と上昇を同時に行なっており、後ろに上っていく軌跡となります。被写体が小さくなっていく分、比較的難易度は低いのですが、周辺がフレームに入ってくるので、最終的に意図したい構図にするための微調整が必要です。

被写体に動きを与える

 被写体を見る角度が変わる映像となります。より立体的に被写体を捉えます。また背景が大きく動くのでダイナミックな映像となります。動きの少ない(もしくは、ない)被写体に動きを与えます。
 ドローンは上昇しながらカメラを下にチルトします。常に被写体を中心に捉える必要があるので、難易度は高めです。

規模を説明する

 映像は被写体に対し横に移動していきます。横の長さなど規模を強調できます。連続性のある被写体(特に建築物など)を捉えると、映像にテンポが出ますが同時に単調な映像となるので、シーンとしては短めにしたほうが良いかもしれません。
 ドローンは横に移動するだけなので難易度は低いですが、建築物を捉える時はカメラ位置をしっかり調整しておかないとバランスの悪い構図になってしまいます。また、ドリーの速さにムラが出ないよう注意が必要です。

印象的なシーンをつくる

 上空から地表などを真下に見た俯瞰ショットです。比較的低い高さ(20~30メートル)でも普段見慣れない為、とても印象深いショットとなります。高低差のある被写体を捉えると立体感が強調されたシーンとなります。
 ドローンのカメラを真下に向けたまま、横または前進/後進するだけなので難易度は低いですが、構図のセンスが大きく出やすい映像となります。ここもまた、移動スピードを一定にするのが重要です。

旅立ちや新たな展開を表現する

 見慣れた目線から上空のショットまでシームレスに繋がるので、物事の始まりや新たな展開など期待に満ちた映像となります。
 ドローンは前進と上昇を同時に行ないます。地表目線の時はカメラは横を向けていますが、高度が上がるにつれて地表をより多く捉えるためカメラをチルトダウンして、より多く地表を捉えます。
(サンプルではチルトダウンしていません)

遠近を表現+ドラマチックに

 斜め前方に進みながら被写体を追っていきます。直線上にある被写体を奥行きを持たせながら捉えつづけることが出来ます。
 ドローンは、進行方向にカメラが付いているものが多く、機体を左右にラダーすることによりカメラのパンが実現しています。その為、このシーンでは斜め前方に進むことが求められ、かつ被写体との離隔(距離)を保つ必要があり、難易度は高めです。
 また、このシーンの終わりをよりドラマチックにするため、最後に上昇を行ない期待感を持たせています。